時間の効率的な使い方(後編):緊急ではないが重要な活動への取り組み

前回のブログ記事「タイムマネジメントの基本:緊急度×重要度マトリクス(前編)」では、時間の使い方を緊急度と重要度の二つの軸で分類し、「時間管理マトリクス」の各領域について解説しました。今回は、より充実した人生を送るための時間の使い方、および時間管理の改善方法に焦点を当てていきます。

生活の中で緊急なタスクに追われがちな私たちですが、真の充実感は自分の価値観に基づいて時間を使うことから得られます。この後編では、緊急ではないが重要な第2領域への取り組みが、充実感と成功への鍵であること、そしてそのための具体的な実践テクニックについてお伝えします。

1. 緊急なことばかりに取り組むと人生の充実感は得られない

前回お話ししたように、「緊急」とは外部から設定された締切があり、それを守らないと問題が生じる事柄を指します。このため、私たちは無意識のうちに「緊急」な事項を優先してしまいがちです。「緊急」な出来事はランダムに発生するため、自分自身のペースを保つことが難しく、取り組むべき事項の一貫性も失われてしまいます。

次々とやってくる「緊急」なことを処理し続けた結果時間切れとなり、本当にやりたかったことに手がつけられなかった経験は、誰にでもあると思います。目の前のTo-Doリストを一つ一つ確実にこなしていくことで達成感を感じることはできますが、それだけでは人生における深い充実感を得ることはできません。

2. 第2領域への取り組みがカギ

人生の充実感は、自分の時間とエネルギーを本当にやりたいこと(自身の価値観に合った活動)に捧げたときに得られます。これは、第2領域(緊急ではないが重要なこと)への取り組みが、人生を充実させ、成功へと導く鍵であることを意味します。

しかし、第2領域の活動には誰も期限を設けてくれないため、取り組まなくても責任を問われることはありません。また、そのような活動に励んでも、直接的な褒め言葉を得ることは少ないでしょう。

また、人生において価値のあることがすぐに手に入ることはなく、時間がかかります。今日行った努力が明日には結果をもたらすわけではなく、長期的・継続的な取り組みが必要になります。

そのため、苦行に取り組むようなマインドセットだと、目標達成が難しくなるばかりか、目標を達成した後にすぐに元の状態に戻ってしまう原因にもなります(例えば、厳しいダイエットを続けた後に元の生活に戻りリバウンドしまう場合など)。

重要なのは、「自分のゴール」に向かって無理なく行動を続けること、昨日より一歩でも前進した自分を認め、進め方を柔軟に変えていくことです。

3. 「重要度」の観点からの視点が重要

第2領域への活動に割く時間は、主に第3領域から確保することができます。第1領域が「緊急かつ重要」であるのに対し、第4領域に時間を使うべきではないことは自明です。しかし、第3領域の活動に関しては、私たちは容易に誤魔化されがちです。これは、他人から求められる「緊急」な仕事に埋もれるのは、自分自身で何も決断しなくても済むため、簡単だからです。

これは、時間の使い方を第1⇒第3⇒第4領域という「L字型」から、第1⇒第2⇒第3⇒第4領域という「Z字型」にシフトしていくことを意味しています。

これを実現するには、全ての活動を「重要度」の観点から評価することが不可欠です。そうすることで、見かけ上だけの緊急課題から時間を取り戻し、第2領域に投資する時間を確保できます。

「重要度」に基づいて行動することで、第1および第2領域における準備、予防、計画、エンパワーメント活動により多くの時間を割り当てることが可能になり、結果として第1領域で消費する時間を徐々に削減できます。

さらに、第1領域の特性自体が変化します。これは、私たちが怠慢の結果ではなく、意識的な選択により第1領域に時間を使っているという事実を意味します。つまり、その作業を重要であると判断した上で、緊急事項として扱っているのです。

4.第2領域に時間を使うための実践テクニック

    • 優先順位を明確にする

あなたの望む未来に近づく活動や、あなたが重要だと思っている活動を明確にして、それらに基づいて行う日々の活動を選びましょう。まず、あなたが今思う「価値のある活動」をリストアップしてください。価値観は時間とともに変わるため、この作業は定期的に行うことが重要です。

多くの人は「運動しなければ」や「家事をしなければ」といった活動を挙げるのですが、どれも曖昧です。具体的にどういう活動を大事だと思っているのかをまずはハッキリさせる必要があります。例えば、「運動」を「週3回、30分間ジムでトレーニングする」、「家事」を「栄養バランスの取れたレシピを調べて計画する」といった具体的な行動に落とし込みます。

これはなぜかと言うと、脳には「曖昧なものよりも、具体的なものの方に流れやすい」という特性があるからです。だから「勉強する」と曖昧に考えていると、目の前の「SNSを見る」という具体的な行動に流されてしまうのです。

なので、「価値ある活動を、今週取り組めるように、とことん具体的な活動に落とし込む」ということが重要になります。この「具体化・細分化」をしないと、先延ばしのトラップにはまってしまいます。

    • 1週間の設計図を作る

ほとんどの人がTo Doリストを目の前にすると、「価値のあること」からではなく、「手を付けやすいこと」から始めてしまいます。なぜなら、具体的になっていないことを具体的にしていくのは大量のエネルギーが必要だからです。

日々の業務に追われる中で焦りやイライラを感じていると、これらのタスクを具体化するためのエネルギーが十分に確保できません。結果として、手軽に始められるタスクに手を出し、本当に価値のある活動は後回しになりがちです。

そこで重要になるのが、1週間の活動が始まる前に、落ち着いた心で「今置かれている状況の中で、価値ある活動に時間をどれだけ配分できるのか」を決め、1週間の設計図をつくることです。これをウィークリープランニングと呼びます。

実際の生活では、状況やタイミングによって時間が取れる時もあれば、取れない時もあると思います。重要なのは「今置かれている状況の中で、価値ある活動にどれだけ時間を配分できるか」を決めるです。

今週、取り組むものは何かを具体的に決めて、スケジュール帳に書き入れましょう。その際に気をつけていただきたいのが以下の3点です。

      • 「自分の時間」を計画に組み込む

多くの人は、他人との約束や仕事の締め切りが具体的に決まっているものだけをスケジュール帳に記入します。しかし、この方法では、期限が自動的に設定されない「価値ある活動」をいつまでも計画に盛り込むことができません。将来の夢のために天引き貯金をするように、「自分だけの時間」もあらかじめスケジュールに確保しておくことが大切です。

実際のところ、計画していた活動よりも緊急かつ重要な仕事が飛び込んでくることもあると思います。そのような場合は、柔軟に対応すればいいのです。全体としてみれば、より重要なことに時間を使ったことになるわけですから。

したがって、スケジュールは絶対に守らなければならないという厳しい考え方よりも、立てた計画を柔軟に調整していくことが有効です。気軽にスケジュールを組むことで、自分自身の時間管理をより柔軟に、かつ効果的に行うことができます。

      • 集中力の高い時間帯を「価値ある活動」に割り当てる

「価値ある活動」には、自分の集中力が最も高い時間帯を優先的に割り当てるようにしましょう。人間の集中力は、十分な睡眠を取った後の朝が一番高く、日中を通じて徐々に低下していきます。夜の集中力は、朝の約1/4にまで減少するとされています。したがって、集中力の高い時間は、メール処理や事務作業ではなく、「価値ある活動」に割り当ててください。

朝の時間帯は、他の仕事による遅延や突発的な業務が比較的少ないため、計画した活動に取り組むのに最適な時間です。この時間帯を活動のために予約(ブロック)することで、計画したタスクを実行できる可能性が高まります。

      • スケジュール帳を無理に埋め尽くさない

スケジュールを作成する際には、1週間分のスケジュール帳を完全に埋め尽くそうとする罠に陥らないよう注意しましょう。すべての時間を細かくスケジュールすることへの強迫観念は、実はまだ時間管理に縛られていることの証です。最も重要なのは、価値ある活動に集中して質の高い時間を過ごすことです。価値ある活動に十分な時間を割くことができれば、その他の時間はどのように過ごしても構いません。

実際、計画した作業が予定よりも長引くことはよくありますし、予期せぬ緊急の仕事が生じることもあります。このような状況に柔軟に対応できるよう、スケジュールにはあえて余白を残すことが有効です。

    • 定期的な振り返り

実際にどのように時間を使ったかを見える化し、定期的にその使い方を見直し、第2領域の活動が十分に行われているかを評価することは非常に重要です。

1週間の終わりに「この活動ができたから良い一週間だった」「これを行っておけばもっと良かった」と振り返ることは、自分の「価値のある活動」を明確にする上で効果的な方法です。このプロセスを通じて、その場の感情に流されて取り組んだことよりも、実際に自分に満足感・充実感をもたらす活動が何であるかが明らかになっていくのです。

自分の日々の過ごし方がわからないから、他人と自分を比較し、不安になってしまうのです。そのため、過去1週間で何を成し遂げたかを振り返り、評価することで、自分自身の基準(自分軸)に基づいて進んでいきましょう。

この点に関しては、以前のブログ「時間創造の技術:経営者のための時間管理術」でも詳細に取り上げていますので、ぜひご覧ください。(時間創造の技術:経営者のための時間管理術

    • 主体的に行動する

第2領域の活動に取り組むには、主体的な姿勢が必要です。第1領域や第3領域のタスクは向こうから私たちに働きかけてきますが、第2領域の活動は自ら進んで働きかけなければならないからです。

緊急ではあるが重要ではない第3領域の活動、または重要でも緊急でもない第4領域の活動に対しては、勇気を持って「ノー」と言うことが重要です。

さらに、自分だけでなく他の誰かが行うことが可能なタスクについては、他人に委ねることによって、より重要な活動へと集中するための時間を確保することも大切です。

本ブログでは、人生をより充実させるためには、時間管理マトリクスの第2領域(緊急ではないが重要なこと)に焦点を当てることの重要性、および第2領域の活動に効果的に時間を割り当てるための思考法と実践方法を紹介しました。これが皆さまのお役に立てば幸いです。

 

社長業専念コンサルタント 横山 一成

社長業専念コンサルタント 横山 一成

「経営者の志をリスペクトし、その具体化を通じて、お客様や働く仲間もワクワクする会社へ磨き上げるサポートをする」を理念に、社長業専念コンサルティング、企業改革・業務改善等の経営コンサルティング、従業員向け研修を実施している。

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