組織における仕組み化からルーティン化、そして習慣化へ

第1章: はじめに

私は、社長が「社長の仕事」に専念できるように、業務改善の支援をしています。ある企業では、日々の業務に追われて、成長が停滞していました。この問題を解決するために、社長の時間を創出してやりたいこと、やるべきことを明確にした後、業務の仕組み化、ルーティン化、習慣化を進めることで、大きな成果を上げることができました。

前回の記事では、個人が新しい習慣を身につけるためのテクニックを紹介しました。今回は、組織における仕組み化、ルーティン化、習慣化のプロセスとその意義について探ります。

第2章: 成功する組織を作る仕組み化の秘訣

仕組み化とは、業務やプロセスを体系化し、標準化された手順やルールを設けて効率的に運用できるようにすることを指します。
これにより、業務の一貫性や品質を保つことが出来ますし、習熟度向上やツール開発等により効率を向上させることが可能となります。
ただし、以前のブログでご紹介した「ゼロ・ベース思考」によって不要な仕事を排除した後に行うことが重要なことには留意してください。無駄な仕事を効率的に行っても無意味ですので。
仕組み化は、組織のパフォーマンスを最大化するための基盤です。

具体例:

  • 業務の担当者の明確化
  • 業務プロセスの可視化、タスク分解
  • 属人的なプロセスの排除と業務フローの標準化
  • 手順書やマニュアルの作成
  • 業務を効率的に行うためのツールの作成(管理シート、改善ツール等)
  • KPI(重要業績評価指標)の設定

第3章: ルーティン化で業務を劇的に効率化する方法

ルーティン化とは、仕組み化された手順やルールを日々の業務に適用し、繰り返し行うことです。
効果的なルーティンは、組織の業務リズムを考慮して設計することが重要です。例えば、営業活動が月次サイクルで回る組織では、目標達成のためのチェックポイントやタイミングを熟慮して決めることが大切です。一方、プロジェクトベースの組織であれば、それぞれのプロジェクトの進捗状況・マイルストンに応じて設計することが効果的かもしれません。
ルールを設定したからといって、すぐにルーティン化すると考えてはいけません。リーダーはそのルールの意義・目的をきちんと伝え、それがきちんと実行されているかをモニタリングしなければなりません。きちんと実施したときには褒めたり感謝を表明する一方、実施されない場合にはきちんと指摘することが必要です。それがなされない限り、メンバーはそのルールを軽視することとなり、組織のルーティンとして定着することはありません。
ルーティン化により、組織全体が一定のペースで業務を進め、効率的かつ効果的に目標を達成できます。

具体例:

  • 顧客訪問後のトピック共有(日報、メール、チャット等)
  • 毎週の振り返りミーティング
  • 毎月15日の受注状況確認会議
  • トラブル発生時の対処(第一報、止血策、対策検討会議、抜本策、フォロー等)
  • 業績レビュー、KPIモニタリング

第4章: 習慣化で組織を強化するステップ

習慣化とは、ルーティンが繰り返されることで、意識的な努力をほとんど必要とせずに自動的に行われる行動にまで定着することです。
習慣化されることで、業務がよりスムーズかつ効率的に進行し、エネルギーの節約にもつながります。これらの行動が個人レベルでも無意識で行われるようになると、それは組織のカルチャーとなります。

具体例:

  • 顧客等から聞いた情報の積極的な共有
  • 行動目標へのコミットの姿勢、達成への相互支援
  • トラブルを未然に防ぐアイデア出し、実行
  • 目標達成に向けたアクションの組織的検討

第5章: 組織の習慣づけの落とし穴

よくある失敗

組織の習慣づけにはいくつかの落とし穴があります。個人が習慣を身につける場合にも障害は数多くありましたが、組織の場合、価値観が多様な人たちが関与するため、さらに難しいことを意識しましょう。
まず、目標が不明確な場合、従業員は何を目指して行動すべきか分からず、行動を開始するモチベーションが湧きません。
また、リーダーが率先してその新しい行動を行っていない場合や、適切なフィードバックが得られない場合には、指示やルールを軽視してしまい、ルーティン化・習慣化に至りません。

効果的な対策

組織の習慣づけを成功させるためには、いくつかの対策が有効です。

まず、明確なビジョンと目標設定が重要です。リーダーは組織全体に対して、何を達成すべきかを明確に伝える必要があります。それが各メンバーにとってどのような意味を持つのか、リーダーの言葉で語りかけましょう。そして、リーダー自らが率先して実行してみせることも重要です。

また、誰しも不明確なこと・わからないことは継続的に実行できません。従い、導入時のトレーニングだけでなく、継続的なフォロー・サポートを通じて、各メンバーが新しい習慣を身につけるのを支援していくことが必要となります。

行動を継続するためには、その行動に対するフィードバックがポイントです。例えば、新しい資料を作成することとなっても、誰からもそれに対して反応がなかったとしたら、その資料は必要ないと感じてしまい、いつしか風化してしまいます。適切にフィードバックを行い、必要に応じて改善策を講じることで、習慣の定着が促進されます。

リーダーは、個人の習慣づけ以上に時間がかかることを覚悟し、粘り強く取り組むことが求められます。3週間を目処に、その新しい行動が行われることをリーダーがしつこくチェックすることが必要です。

成功へのステップ

実践的なアドバイスとしては、短期・中期・長期のプランニングが有効です。短期的には具体的な目標と行動計画を設定し、進捗をモニタリングします。中期的には定期的なトレーニングやワークショップを開催し、組織全体でスキルの向上を図ります。長期的には、組織文化として習慣が根付くように、継続的なサポートと評価を行います。

第6章: ルーティン定着・習慣化の副作用

ルーティンの定着は、効率的な業務遂行や品質の維持に重要ですが、一方で現状維持を正当化する理由にもなり得ます。これは特に、ルーティンが固定化されることで新しいアプローチや革新が阻害される場合に問題となります。以下に、その対応策をいくつか提案します。

定期的な見直しと改善のサイクルを設定する

ルーティンは定期的に見直し、必要に応じて改善することが重要です。以前のブログ「ゼロ・ベース思考での業務見直し:中小企業経営者へのガイド」(https://leadchg.com/zero-base-operation-review/)でご紹介した「ゼロ・ベース思考」の問いかけを思い出してください。これにより、現状維持の罠に陥ることを防ぎ、常に最新のベストプラクティスを取り入れることができます。

    • PDCAサイクルの導入:PDCAサイクルを定期的に回すことで、ルーティンの有効性を常に評価し、必要な変更を行います。ポイントはC: Checkです。当初の期待と異なる結果となっている場合、「やるべきことをやっているのか」とあわせて、「やり方を変える必要はないのか」を振り返りましょう。
    • 定期的なフィードバックセッション:環境が変化したり、やり方が陳腐化していても、「そういう決まりだから」という理由で同じ行動が惰性で続いていることがあります。従い、メンバーからフィードバックを定期的に収集し、ルーティンに関する意見や改善点を取り入れることが重要です。

イノベーションと改善の文化を育成する

ルーティンに固執せず、常に新しいアイデアや方法を試みる文化を育成することが重要です。

    • イノベーションを奨励するインセンティブ:ルーティンはなにかの目的を達成するための手段です。手段と目的が入れ替わらないように気をつけましょう。既存のやり方を守ることを絶対視したり目的とせず、新しいアイデアやプロセス改善を提案するように従業員を促し、適切に報いることが大切です。リーダーは、改善の声を上げたメンバーの勇気をくじくようなことをしてはいけません。
    • トレーニングと教育プログラム:従業員が最新の技術や方法論に精通し、常に学び続ける環境を提供しましょう。

リーダーシップの役割

リーダーシップは、現状維持を避け、組織の持続的な改善とイノベーションを促進する上で重要な役割を果たします。

    • ビジョンと目標の共有:リーダーは、組織全体に対して明確なビジョンと目標を示し、それに向かって常に進化することを奨励しましょう。言葉だけでなく、自らの行動で示すことが重要です。
    • オープンなコミュニケーション:意見やアイデアの自由な交換を奨励し、現状を疑問視する文化を醸成しましょう。激変している環境に身をさらしているのは、日々の活動の最前線で奮闘する従業員なのです。彼らとのコミュニケーションから学ぶ姿勢が重要です。

第7章: まとめ

組織における仕組み化、ルーティン化、そして習慣化は、業務の効率化と組織全体の一体感を高めるために不可欠なプロセスです。これらを実践することで、組織のパフォーマンスが向上し、持続可能な成長を実現できます。

  • 仕組み化: 業務の標準化と手順書の作成により、一貫性と品質を確保します。これにより、無駄な業務を排除し、効率的な運用が可能になります。
  • ルーティン化: 仕組み化されたプロセスを日々の業務に組み込み、定期的に繰り返すことで、業務の安定性と信頼性を向上させます。
  • 習慣化: ルーティンを繰り返し行うことで、意識せずに自動的に行える行動として定着させ、長期的な成果を実現します。

これらのステップを踏むことで、組織は目標に向かって効率的かつ効果的に進むことができ、社内の一体感とモチベーションが高まります。組織全体が一丸となり、継続的な改善と成長を目指すことで、競争力の強化と持続的な成功を手に入れることができるでしょう。組織の強化と成長のために、今すぐ仕組み化、ルーティン化、習慣化に取り組んでください。

 

社長業専念コンサルタント 横山 一成

社長業専念コンサルタント 横山 一成

「経営者の志をリスペクトし、その具体化を通じて、お客様や働く仲間もワクワクする会社へ磨き上げるサポートをする」を理念に、社長業専念コンサルティング、企業改革・業務改善等の経営コンサルティング、従業員向け研修を実施している。

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