変化を定着させる: 日々の習慣に生かす効果的な戦略

前回のブログでは、変化を起こすための行動を継続することが難しい理由を、脳の仕組み・心理的障壁・環境の影響といった側面から説明しました。

今回のブログでは、変化を起こす行動を継続するための具体的な戦略と心理的アプローチを深く掘り下げていきます。成功への鍵は、単に「やるべきこと」を知るだけでなく、「どのようにしてモチベーションを維持し、行動を習慣化するか」を理解することにあります。これから紹介するテクニックを活用すれば、新しい習慣を日常の一部として、ラクに変化を起こすことが可能です。

それでは、前回の内容を踏まえつつ、変化を持続させるための効果的な方法に焦点を当てていきましょう。

1.変化したい理由を明確にする

皆さんが起こしたいと思っている変化は、きっと短期間では手に入らないものだと思います。なぜなら、短期間で手に入るものであれば、既に手に入れているはずだからです。また、それは誰にとっても容易に手に入るものでしょうから、差別化したり優位性を確立することは出来ないもの、ということになります。つまり、皆さんが起こしたい変化は、長期の行動を継続しないと手に入れることが出来ないもの、ということになります。

前回のブログでお伝えしたように、モチベーションは長続きしないものです。なので、自分がなぜ変化を望んでいるのか、その変化が実現したときにどのような良いことがあるのかを明確にし、都度それを思い出すことが、長期的な行動継続のカギとなります。

2.自分がワクワクするゴールを思い描く

ビジネスでは、「SMARTな目標を立てる」とよく言われます。SMARTは、「Specific(具体的な)、Measurable(測定可能な)、Achievable(達成可能な)、Relevant(関連性のある)、Time-bound(時間的な制約がある)」という条件を満たす目標を指します。

しかし、個人の行動変化においては、自分がワクワクするかどうかがより重要です。ゴールは、「今のあなた」を変えるため、特に、今のあなたの感情を変えるためのものなのです。「あなたは自分のゴールを見て、どういう気分になりますか?」もし嫌な気分になるなら、さっさと違うゴールにしましょう。ゴールは良い気分になるため、人生で行きたい場所に行くための道具ですから。

本当にやりたいことに向かって、毎日自分自身が一歩ずつ近づいていると感じることが充実感や幸福感をもたらすことがわかっています。その日々の感情は、最終的に目標が達成できたかどうか以上に大切です。

3.ゴールに相応しい自分自身を想像する

ゴールをラクに達成している自分自身を想像してみましょう。それはどんな自分でしょうか?どのような考え方や生き方をしているでしょうか?「達成したいこと」ではなく、「どんな自分になりたいか」にフォーカスするということです。

ゴールが達成されることよりはるかに重要なこと、それはゴールに相応しい人間にあなたが成長することです。ゴールの目的は、決めたことを達成することではないのです。ゴールの目的は、そのゴールに相応しいあなたに成長することなのです。半年で10kg ダイエットすることが重要ではなく、半年後にどういう自分に成長していれば10kg が自然と減っているか、そしてそれが維持できるか、という「成長したあなた」が重要なのです。売上を倍にすることが重要なのではなく、それに相応しい勉強をしたり、挑戦をしたり、自分を変えたりしながら、成長していくことが大事なのです。

4.「一歩目」を大切にする

ゴールに相応しい自分自身に近づくための「一歩目」を考えてみましょう。初めての試みであれば、ゴールまでの道筋を全て描くことはできないかもしれませんが、それは問題ありません。そこに向かう最初の一歩を、「間違えることが出来ないくらい」明確にすることが重要です。

また、この最初の一歩は「失敗できないほど小さく」設定することも重要です。たとえば、ジョギングを始める場合、「朝起きてウェアを着替え、玄関を出て屈伸運動をする」くらいから始めるのが理想的です。重要なのは、非常に小さな行動から始め、徐々にその行動を積み重ねていくことです。

モチベーションはすぐに低下するものですが、スキルの習得は時間がかかります。そのため、高いモチベーションで実行すると決めたことは、すぐに挫折してしまうのです。毎日5km走る!と決意しても、それは当初の高いモチベーションが続く間しか実行できないのです。「そんな少しのことでは意味がない」と思わず、脳の適応力や人間の成長力を信じて、徐々に挑戦のレベルを上げていくことが大切です。ジョギングを例にとれば、走れる距離は自然と伸びていくものです。

そうしてスキルが上がってくると、モチベーションに頼らずとも出来ることは増えていきます。また、新しい行動も見つかっていきます。そうやって、無理せず、なりたい自分へ近づいていく行動を積み上げていくことがポイントです。

5.If-Thenプランニング

行動を習慣化するためには、「もし◯◯したら、その後で◯◯する」という形で計画するのが有効です。これをIf-Thenプランニングと呼びます。研究によって、If-Thenプランニングが、行動を実行する可能性を大幅に向上させることを明らかにしています。

例えば、「もし仕事から帰宅したら、その後すぐに15分間瞑想をする」と決めることが一例です。既に習慣化している行動をトリガー(引き金)として、次の行動を紐づけるのです。こうすることで、新しい習慣が身につきやすくなります。

また、新しい行動を行った後には、自分に小さなご褒美を与えることもお勧めです。これにより、新しい行動を継続する動機づけが強化されます。うまく脳を騙しましょう。

6.疲れたら休んでもいい

忙しい日々の中で、やる気が出ないこともあります。そんなときは、目標の半分でも、それが難ければたった2分でも、とにかく継続することが重要です。それによって、脳にその行動を取ることが「当たり前」と癖づけることができます。

体調を崩したり、他の理由でどうしてもその行動が出来ない場合もあると思います。そんなときは、自分を責めるのではなく、次の日に再開することが大切です。俗に言う「三日坊主」は、4日目に休んでしまうことが問題ではなく、5日目に再開しないことにあるのです。

また、日々の行動を手帳などに記録することもお勧めです。自分の進化を可視化することにより達成感を得ることが出来ますし、継続期間を中断させたくないという気持ちも生まれてきます。

7.脳は3週間で慣れる

新しい行動を始めると、脳はこれに強く抵抗することがあります。前回のブログでもお伝えしましたが、これは、生存本能に基づく反応です。しかし、脳は非常に適応力が高いため、しばらくすると慣れていき、約3週間でその行動がデフォルト・当たり前になります。そうなってしまえば、行動を継続することが圧倒的に楽になります。むしろ、行動しないことに違和感を感じるようになります。

ですので、最初に感じる抵抗感は「脳みそ調整中」と解釈し、変化を起こしたい理由・変化によって得られるものを思い出しながら、この辛さは「3週間だけ」と思って、努力を続けてみてください。

8.周囲を活用する

行動を継続するためには、周囲のサポートを積極的に利用することが効果的です。新しい行動を始めることを公に宣言するだけでも、大きな効果が期待できます。友人や家族と一緒に目標に取り組むことで、心理的なサポートが得られ、モチベーションの維持につながります。SNSを活用して行動を共有し、お互いに褒め合うことも一つの方法です。

また、行動をサボったときのペナルティや、目標を達成したときの報酬を設定してゲーム化することで、楽しみながら動機づけを強化することが可能です。

まとめ

新しい変化を無理なく起こすことができるコツをご紹介させて頂きました。是非、気に入ったものを試してみてください。新しい行動には、最初は大きなストレスが伴うかもしれませんが、このようなアプローチを取ることで、それとうまく付き合って乗り越えることができます。

新しい行動を始めて習慣化していくのには脳に強い負荷がかかります。そのため、新しい行動は「一つずつ」取り組むことが重要です。複数の行動を同時に始めると、すべてが中途半端になるリスクがあります。代わりに、一つの行動をしっかりと習慣化させることから始めるのが最適です。

この方法で一つの習慣を身につけると、「習慣化のコツ」がわかりますし、「自分は自分の行動を変えられる」という自信がつきます。そうすると、次の習慣を身につけるのが楽になりますので。

 

社長業専念コンサルタント 横山 一成

社長業専念コンサルタント 横山 一成

「経営者の志をリスペクトし、その具体化を通じて、お客様や働く仲間もワクワクする会社へ磨き上げるサポートをする」を理念に、社長業専念コンサルティング、企業改革・業務改善等の経営コンサルティング、従業員向け研修を実施している。

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