「フローをストックに、と言われても、大がかりなシステムが要るんでしょう」。そんなことはありません。実際に動いている現場を2つ——Faxの山をAIにさばかせている専門商社と、私自身の毎朝5時の習慣を、ご紹介します。
前回は、情報には「流れるもの」と「貯まるもの」があり、流れの途中にダムをつくればいい、という話をしました。
ただ、こういう話をすると、たいてい返ってくる反応があります。「言いたいことは分かるけれど、それって大がかりなシステムが要るんでしょう」と。
そんなことはありません。今日は、実際に動いている現場を2つご紹介します。
Faxの山を、AIにさばかせている会社
ある専門商社の話です。
この会社には、取引先から毎日たくさんのFaxが届きます。届いたFaxは複合機でPDFになるのですが、そこから先は人の手でした。一件ずつファイルを開いて、中身を確認し、担当者に転送していく。この作業に、毎日誰かが時間を取られていました。
この会社がやったのは、Faxをやめることではありませんでした。
Faxが届いた瞬間に、その中身をAIが読み取ります。送信元、送信先、タイトル、書類の種別、内容。それを自動でスプレッドシートに書き出して、一覧で見られるようにしたんです。
結果、ファイルを開いて転送する作業そのものがなくなりました。それだけではありません。担当者は外出先からでも、自分宛のFaxをその場で確認できるようになりました。
私がこの話で面白いと思ったのは、Faxという古いやり方を残したまま解決している点です。取引先の都合でFaxを使い続けざるを得ない会社は、中小企業には本当に多いと思います。「まずFaxをやめましょう」と言われても、現実には動かせません。
変えたのは、やり方ではなく、受け止め方でした。次々に届いて開くしかなかったPDFが、検索できて共有できる記録に変わる。これが、ダムをつくるということです。
毎朝5時、私宛に「自分だけの新聞」が届く
もう一つは、私自身の話です。
毎朝5時、AIが業界のニュースを集めて、要約してくれます。ここまでなら、よくある話かもしれません。
私がもう一段だけ加えているのは、「この記事は、自分にとってどういう意味があるか」まで書かせていることです。要約だけなら、読んでも「へえ」で終わってしまいます。でも、自分の仕事に引きつけた意味合いが添えてあると、「これはあの会社に伝えたほうがいい」と、次の行動につながります。
そして、読んで終わりにはしません。記事にラベルを付けて、そのままデータベースに貯まっていくようにしてあります。これは競合の動き、これは技術の話、というふうに分類されて残ります。
だから、あとになって「あの話、どこで見たんだっけ」と探し回ることが、ほとんどなくなりました。
毎朝の情報収集という、いちばん流れの速いフローが、そのままストックに変わっています。しかも、意味づけまで一段済ませた状態で貯まっていきます。ここが、ただの情報収集ツールとの違いだと思っています。
2つに共通しているのは、「型」です
業種も規模もまったく違う2つの例ですが、やっていることの骨組みは同じです。
情報が流れてきた瞬間に、あらかじめ決めておいた型へ流し込んでいます。
- Faxの例——送信元・送信先・タイトル・書類種別という型
- ニュースの例——要約・自分への意味合い・ラベルという型
この型があるから、AIは迷わず処理できます。そして、この型こそが、前回お話しした「フィルターのメッシュ」の正体です。
この型に正解はありません。専門商社に必要な型と、私に必要な型は、まったく違います。どこかから持ってきたテンプレートを当てはめても、たいていうまくかみ合いません。自分の仕事を知っている人間が、自分で決めるしかありません。ここだけは、AIには任せられない部分です。
まず何から始めるか
- ステップ1:毎日、決まって流れてくるものを1つ挙げる(3分)——Fax、日報、問い合わせメール、現場からの写真。何でも構いません。毎日必ず流れてくるものを、1つ思い浮かべてください。
- ステップ2:そこから「何を残せば十分か」を3つ書く(5分)——その情報のうち、あとから見返したいのはどの項目か。3つだけ挙げてみてください。それが、あなたの型の原型になります。
- ステップ3:AIに、その3つを抜き出させてみる(10分)——今日届いた1件でいいので、AIに投げて、その3つを抜き出させてみてください。うまくいかなければ、型のほうを直せばいいだけです。
いきなり全部を仕組みにしようとしなくていいです。1つの流れから始めれば十分です。
8月26日、あなたの型を一緒に決めます
今回のセミナーでは、こうした事例をお見せしたうえで、参加される方ご自身の型を、その場で1つ設計していただきます。
何を貯めて、何を流すか。どこに、どんな形で残すか。決めるのは一度だけで、あとの維持はAIが引き受けてくれます。決めてしまえば、あなたは「仕組みのオーナー」になります。
- 日時:2026年8月26日(水)18:30〜21:00
- 開催形式:オンライン
- 参加費:5,000円(税込)※初参加の方は3,000円(税込)
- ご準備:ノートPC(ChatGPTの有料アカウントを推奨。当日ログインできる状態で)
FaxやニュースのようにAIに待ち受けさせられる情報は、皆さんの会社にも、思っている以上にたくさん眠っているはずです。それに気づけるかどうかが、最初の分かれ目になります。
情報は、探すな。待ち受けろ。
オンラインでお待ちしています。
NEXT STEP
8月26日、あなたの会社の「型」を、その場で1つ設計します
「シン・仕事術」セミナー第25回では、今回ご紹介した事例の仕組みを公開したうえで、ご自身の業務に合わせた型を設計していただきます。決めるのは一度だけ。あとの維持はAIが引き受けます。
コメント
COMMENT